シンデレラ the ミュージカル


於:新宿コマ劇場
開幕から3日間悶々と過ごしていたがやっと開放だ。
それにしても昼公演の時間は早い…
家を出たのが9時。
会場に着くとやはり独特の客層でにぎわっている。
今回は宝塚比率がグンと上がっているのでそっち系の方も多め?
親子連れもたくさん。
なるべく色々な方に観ていただきたいと思います。
座席は12列のほぼセンターで文句なしの位置。


さてお話の内容は誰もが知ってるあのシンデレラなので結末もわかってるしどうということはない。
だからこそ逆に芝居は難しくなってくるという面もある。
特に主役のシンデレラ、これはただ単にかわいそうな娘になってしまってはいけない。
散々虐げられてはいるけどその程度のことはまあ我慢する、しかし舞踏会には行きたいしあわよくば王子とかつかまえらんねえかな?的な下心はちゃんと持っている女の子なわけで、かといってそれが嫌味になってしまってもいけない。
ここいらのバランスは非常に難しいと思うが高橋愛は大体まとめることができていたんじゃないだろうか。


そしてこの舞台の最重要ポイントとも言えるのがもう一人の主役、王子を演じる新垣里沙の奮闘ぶりである。
とはいえ高橋愛に負けないちんちくりんである新垣、まずはその異常に高いヒールにどうしても目がいってしまう。
ズボンをはくと裾からはつま先とかかとしか見えない。
そうした容姿も含めて、二十歳を迎えたという設定に対してあまりにも幼く「少年」という形容がぴったりの王子だが、そんなことはどうでもよくさせてしまうのが新垣の真摯で誠実な演技である。


この2人が描く恋物語は情熱的かつ可憐で微笑ましく、思わず胸が熱くなる。
まあーそれにしても全体を通して何と華やかなステージだろうか。
宝塚出身のアンサンブルの皆さんも見事な歌と踊りで花を添え、小難しいことは考えず純粋に夢の世界に没頭できる。
シンデレラの姉の田中・亀井はまさにはまり役、ほとんど地でいって問題ないレベルだが亀井は高い声を使いすぎてセリフが聞きづらいところもあり。
妖精役の道重・光井は妖精として何か仕事をするというわけではないが村娘などとしても登場して要所で存在感を出してくる。
伝令官役の久住、モーヲタとしてはあの小春がお役人に納まってしまっている事には若干物足りなさを感じるが、やはり姿を現すだけで異彩を放つ彼女はストーリー進行上のアクセントとして十二分に機能している。
かわいそうなのがジュンジュンとリンリン、まあ仕方ないことではあるが用意されたセリフは終盤に一言ずつだけ。
それだけにものすごく力の入った言い回しになっているのが逆に面白い。


継母役の愛華みれさん、奇しくも大きな病気からの復帰公演となったわけだがこちらの心配をあざ笑うかのようなバイタリティあふれる熱演。ありがたいことです。
妖精の女王、麻路さきさんは本編ではイマイチ煮え切らないおばさん(劇中でそう呼ばれていますので)という感じだがフィナーレのレビュー風ステージに男役で登場した姿はまさに別人!
宝塚のトップとはこういうものかと感銘を受けた。
できれば愛華さんの男役も見てみたかったけれども。
この2人と並び立った愛ちゃんはどんだけ果報者なんだと。
そして『リボンの騎士』に引き続いての国王役、箙かおるさんと女王の光あけみさん。
ユーモラスかつ慈愛に満ちた演技で娘。に力を与えてくださりありがとうございました。


フィナーレのミニライブではいきなり『C\C(シンデレラ\コンプレックス)』の娘。バージョンで度肝を抜かれた。そう来るかー。
その後『シャボン玉』『ザ☆ピ〜ス!』『リゾナントブルー』と続くセットには参った。
さすがにあの空気で「れいなだけ〜!」はできないしw
座ったまま静かに聴くのがあまりにもどかしい時間帯であった。


そんなわけで夏休みに楽しむファミリーミュージカルとしては大変よく出来上がっている作品ではないかと。
家族連れはもちろんヅカヲタの皆さんにも一人でも多く足を運んでいただいて、今のモーニング娘。を是非見てやってほしいと願う所存である。


観劇後は新宿でカツカレーを食べ、浦和美園駅へと向かった。