モーニング娘。ファンクラブツアーin香港 3日目

朝10時近くまで寝ていた。
この日は14時過ぎまで自由時間になっている。のそのそと起き出した私たちはせっかくなので目の前にあるハッピーバレー競馬場を見学しに行くことにした。
昨夜買ったばかりの香港限定Tシャツを着て行こうとするとW君も同じ格好をしていた。
男二人でペアルック…よっぽど着替えようかと思ったが香港で人目を気にするのもバカらしいのでそのまま出かけた。

前述のように開催期間ではなかったため競馬場の中に入ることはできず、併設の競馬博物館の見学だけにとどまった。
博物館にも私たち以外に見学者はおらず閑散としていた。いろいろ展示物はあったがもちろん日本語などどこにも書いていないので内容はよくわからない。
本馬場の様子も見ることができたが内馬場がさまざまな球技のコートになっていたりして日本の競馬場とはかなり違う雰囲気であった。

しばらく博物館で過ごしてから徒歩で銅鑼湾駅方面へ向かい、みやげ物を探しに大きなスーパーマーケットへ行った。
みやげ探しは難航した。生鮮食品は品揃え豊富だが持ち帰れないし、その他の食品関係は日本でも手に入るようなものばかり。
結局烏龍茶と、バターロールみたいなお菓子、中国製の醤油を買ってきた。
店を出て、近くにあった西武デパートに入った。
2階のHMVに立ち寄り、軽く市場調査…。
せっかくモーニング娘。が来訪しているのにちっともフィーチャーされていなかった。

続いて上階にあるレストラン街で昼食をとることにした。
昨夜の惨敗ムードを払拭するため、あえて日本料理店に入った。
私はしょうが焼き定食、W君はさんま塩焼き定食を頼む。慣れ親しんだ味。二人して「味噌汁」というもののありがたさを痛感した。

食事を終えて一旦ホテルに戻り、夜のイベントに向かう支度をする…が、ここでハプニングが発生。
前日に配布された、限定Tシャツ(初日に買ったのとは別)購入のための申込書が見当たらない。
一応、何かあってはいけないので午前中外出したときも携帯していたのだが、どこかで落としてしまったらしい…
狼狽する私を尻目に、夜のイベントの座席抽選会が行われていた。抽選はW君に頼んで荷物を再確認してみたがやはり見つからない。
こうして私はけっこうションボリしたままイベント会場に向かうことになった。

バスに揺られて到着した会場は昨日とは別の、やはり会議場のような場所。
トイレが少なかったりしてフロアはヲタでごった返した。
やがて、いよいよイベント開始。最初はメンバーが香港で購入したおみやげ&特製IDパス&その場で制作する巨大寄せ書きプレゼントの大抽選会。
けっこう近い番号が当選していたが結局私たちは何も当たらなかった。
あるメンバーの賞品が他メンの推しTを着たヲタに当選したりすると会場全体から激しいブーイングが起きた。またその逆のケースでは大歓声で讃えられていた。

続いていよいよ香港スペシャルライブの開始。
なんと、全メンバーのソロ曲が聴けるという、まさに夢のようなセットリストは以下の通り。

01.色っぽい じれったい
02.ラブ&ピィ〜ス!〜HEROがやって来たっ。
03.恋をしちゃいました!/田中
04.ポップコーンラブ!/新垣
05.恋ING/紺野
06.青春時代1.2.3!/吉澤
07.電車の二人/小川
08.会えない長い日曜日/藤本
09.涙が止まらない放課後/道重
10.寝坊です。デートなのに…/高橋
11.何にも言わずにI LOVE YOU/亀井
12.愛あらば IT'S ALL RIGHT!〜/久住→全員
13.女子かしまし物語2
14.Go Girl 〜恋のヴィクトリー〜

ライブが始まると床がグワングワンと揺れているのがわかった。
おそらくライブを行うことは想定されていない構造であったのだろうが、たとえフロアが壊れても伝説の一部になれるのなら本望、と思った。
ソロ曲はメンバー自身の選曲ということで、それぞれが緊張の中にも思い入れたっぷりに歌い上げ、我々を魅了してくれた。
紺野が歌う『恋ING』の斬新さ、「真打ち登場」といった風格の吉澤プッチ、まさしく鞭でピシャリと打たれるような美貴ソロの直後にさゆ歌で脳が溶解。
高橋はトリッキーな楽曲で存分に技量を見せつけ、まさか香港で見られるとは思わなかった「クッスミ!クッスミ!」で狂喜乱舞。
とにかく内容については大満足であったわけだが…

ここであえて「新垣里沙」について特筆させていただきたい。
新垣里沙は、モーヲタの神様である。
阪神タイガース八木裕が「代打の神様」であったが如く、新垣里沙は「モーヲタの神様」なのである。
素人時代からモーニング娘。が大好きであった彼女は、トレカ集めなどに夢中になり、思いが嵩じてついに本物のモーニング娘。となってしまった後もそのヲタ性癖は潰えなかったという筋金入りのモーヲタである。
我々一般のモーヲタが逆立ちしてもかなえられない夢を次々に実現していく彼女は、まさに全知全能の神と呼ぶにふさわしい。
日本国憲法第一章第一条の言になぞらえて言えば、新垣里沙モーヲタの象徴であり、モーヲタ統合の象徴であって、…まあこの地位がモーヲタの総意に基づくかどうかはわからないが、少なくとも私はそう考えているということである。

さてその新垣が今般、選んできたのが『ポップコーンラブ!』であったことについて、あなたはどうお感じになるだろうか。
『ポップコーンラブ!』といえば、新垣ら5期メンバーのデビューシングルとなった『Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜』のカップリング曲であり、ライブでもほとんど歌われる機会のないマイナーな曲であるが、吉澤−安倍・後藤という強力な1トップ2シャドウがほぼ舞台を占める表題曲とは裏腹に、比重の差はあるが全員にソロパートが与えられており、この時期のモーニング娘。を余すところなく味わうことのできる、いかにも通好みの佳作である。
自らの原点回帰ともいえるこの選曲は、同時にヲタ心のツボを見事に突いたウイニングショットであり、まずこのセンスが神がかっているとしか言いようがない。
歌い終わった後、本人が「ポップコーンになったつもりで歌いました!」と語った通り、笑顔いっぱいで歌うその姿からはモーニング娘。として舞台に立つ喜びがはじけ飛んでおり、『愛の種』時代から脈々と流れる娘。魂が完全に憑依した「現人神」となって我々の御前に降臨していたのである。
モーニング娘。の現メンバー10名、それぞれが抱いている娘。への愛情を秤にかけることなどはできないが、今その愛情を最もシンプルに体現できるのが新垣里沙その人ではないだろうか。

このライブを通じ、そんな思いを新たにした私であった。

ライブ後はいよいよ最後のイベント、握手会。
日本を発つ前に漠然と考えてあった、メンバーにかける言葉は以下のようなものである。

吉澤:色々大変だと思うけど、ずっとついていくので一緒にがんばろう。
高橋:19歳おめでとう。これからも娘。を引っ張っていってください。
紺野:おいしい物いっぱい食べて、日本に帰ってからも頑張ってください。
小川:『初めてのロックコンサート』大好きなんで、また聴きに行きます。
新垣:尊敬しています。師匠って呼んでいいですか!?
藤本:最近コンサートのソロコーナー楽しみにしてます。もっと増えるといいね。
亀井:最近絵里ちゃんいいねー。どんどんワケわかんないことやってください。
道重:かわいすぎて困ってるので、もっと困らせてください。
田中:れいなちゃんの福岡弁大好きなので、これからもたくさん聞かせてください。
久住:小春フゥーーーーーーーーー!!!

…どこまでできるかわからないが…日本での握手会落選祭りの鬱憤を晴らそうと、気持ちを入れて臨んだ。
本番では並び順が上記と真逆となっていた。いきなりフゥーか…まあいい、やっちゃえ、まずやっちゃえ。
近づいてくる順番。緊張感が全身を覆う。そして握手開始!!!!

俺:(ポーズつき)小春フゥーーーーーーーーーー!!!
久住:(ポーズつき)フゥーーーーーーーー!!!

俺:れいなちゃんの福岡弁大好きなので、これからもたくさん聞かせてください。
田中:はい、ありがとうございます!

俺:かわいすぎて困ってるので、もっと困らせてください。
道重:あ、ありがとうございまーす

ここでスピードが上がって亀井に声かけられず…
俺:…!!
亀井:ありがとうございまーす

急いで気を取り直してミキティ…イベントでの様子があまりに楽しそうだったので、内容変更
俺:なんかすごい楽しそうで…
藤本:楽しいです♪
俺:俺らもうれしかったです。
藤本:ありがとうございましたー

俺:尊敬しています。師匠って呼んでいいですか!?
新垣:あはぁ…(恐縮した面持ちでうなずく)
俺:師匠〜!

俺:『初めてのロックコンサート』大好きなんで、また聴きに行きます。
小川:あ、ありがとうございまーす

俺:おいしい物いっぱい食べて、日本でもがんばってください
紺野:あ、ありがとうございます

俺:19歳おめでとう、これからも娘を引っ張ってください…(また高速になってくる)
高橋:ありがとうございまーす。

俺:色々大変だと思うけど、(引き剥がされながら)ずっと、ついていくんで…がんばって…ちょwwwwwwwww
吉澤:ありがとうございまーす!

…終わった…
小春、HGやってくれたよ…ええ子や…
ミキティが一番自然に会話できたな…うれしい…
そしてついにガキさんの弟子になったぞ…よかった…

握手会があまり得意ではなかった自分が、だいたいやりたいことは出来たのでかなりの満足感を得ていた。
こうして香港におけるモーニング娘。とのイベントは全て終了した。
Tシャツが購入できなかったので、代わりといっては何だが買う予定のなかった生写真を少々購入した。

帰りのバスの中で、昨日撮影した2ショット(11ショット)写真が配られた。
ライブ&握手会の余韻と、出来上がった写真を見ての感動があいまって、車内は一時騒然となった。
さらに明朝の集合時間が6:30であることが告げられるとどよめきが起こった。

ホテルに戻ってから夕食に出かけた。失敗のないように、ガイドブックに載っている店を訪ねていった。
香港ではあちこちで見かける麺&お粥の店。ここのメニューは日本語の説明もあって安心してオーダーできた。
味付けも優しい感じで店の雰囲気も良く、かなりくつろぐことができた。
帰り道、またゲーセンを見つけたので入ってみる。日本ではもうほとんど見かけない「キーボードマニア」にW君が鋭く反応し、これは相当なテクを見せつけてくれるのかと思いきや、全くダメダメであった。
競馬場に隣接している小さな公園ではもう深夜0時を回っているというのにあまり明るくない街灯の下で子供達が大勢遊んでいた。一応親はついているようだったがどうなってるんだこの国は、と思った。
ホテルに戻り、娘。と過ごした2日間を噛み締めながら眠りについた。