モーニング娘。ファンクラブツアーin香港 1日目

結局、前の晩かなり遅くなってから持ち物の準備を始めることになり、睡眠時間はそれほど長くなかった。
30年余の人生でようやっと2度目の海外旅行。
そんな私がスーツケースなどという大層な代物を持ち合わせているわけもなく、とりあえず3日分の着替え、あとは普段のヲタ活動で使うようなものを大き目のスポーツバッグに放り込んでいった。

ぶっちゃけ―――香港くんだりまで出向くのはむしろ億劫であった。当然のことながら、旅立つ理由はただ一つ、「そこへ行けば、彼女たちに会える」…

昼前に家を出た。やや重い荷物を携え、自転車で坂戸駅に向かう。
つい最近になって、坂戸駅から成田空港へ直通の高速バスが運行されるようになった。
多少値段は高めだが、電車を乗り継いで行く手間を考えれば大いに利用価値はある。チケットは1週間前に購入しておいた。
バスは坂戸・川越で客を拾って、3時間ほどかけて成田空港まで走る。利用客は多くなく、座席の半分にも満たなかった。
私はうとうとしたり、前の日に一応購入してあった香港のガイドブックに目を通したりして道中を過ごした。

高速道路を乗り継いで成田に近づいてきた。空港を示す標識がにわかに緊張感をあおる。
検問を通っていよいよ空港の構内に入った。
第2ターミナルでバスを降りて、おそるおそる自動ドアをくぐるとそこは広大な出発ロビー。

1度目の海外旅行は、高校の修学旅行でオーストラリアへ。思い起こせば15年前…
ほとんどシドニー市内だけの大して面白くもない旅行であった。それ以来の成田。
しかし当時の記憶などまるで残っておらず、右も左もわからない。
ここで今回の同行者、W君と連絡を取り、合流。
昨年後藤真希ハワイツアーを経験している彼の存在は心強い。
まだ集合時間まで時間があるので空港内にあるマクドナルドで時間をつぶそうとすると、男4人組の先客の「愛ちゃんが…小春が…」という会話が耳に入ってきた。
ファンクラブツアーはもう始まっているのだ、と実感した。
集合時間が近づき、JALのカウンターへ向かう。すでに大勢のモーヲタが集結していた。
搭乗のチェックイン、手荷物検査、出国審査…それぞれ若干待たされたりはしたものの、手続き自体はスムーズにクリアしていくことができた。

いよいよ飛行機に乗り込む。飛行機に乗るのも久しぶりだ…昨年北海道に行った時以来か…じゃあそれほど久々でもないか…
乗ったはいいがなかなか離陸しない。なんでも滑走路が混雑しているとかで遅れるとのこと。そんなことがあるのか…
とりあえず感動したのが座席にテレビ画面がついていたこと。これは初めての体験だった。
手元のコントローラで好きな映像を映し出すことができるしゲームなんかもできる。
今時珍しくもなんともないのだろうが私にとっては大変なカルチャーショックだったのである。

25分遅れでようやく離陸。香港までは約4時間半の空の旅。
ゲームで遊んだりハロプロの童謡を聴いたりビールを飲んだり機内食を食べたりしながら過ごした。
そしてついに香港に到着。あらためて、モーヲタが大挙して異国の地へ上陸という状況の異様さを感じる。
時刻は現地時間ですでに0時を回っていた。日本時間なら1時過ぎである。
入国審査を通り、空港の外へ出るとまず、暑い。蒸し暑い。
気温は30℃程度だったと思うが、日本とは湿気が全く違う。まとわりつくような暑さ。
移動のバスに乗り込むと今度は俄然強めの冷房。くしゃみが出た。

やがてバスはホテルに向かって走り始め、JALトラベルの添乗員篠崎さんから今後の予定等について連絡が行われる。
さらに現地のガイド、TOMさんから香港滞在においての注意事項等の説明があった。
1時間近く走って今回の宿、コスモポリタンホテルに到着。時刻は1時を回っている。
部屋はきれいだったがシャワーのみでバスタブはなし。
ここは駅から少し離れていてあまり便利な場所ではないが、目の前がハッピーバレー競馬場という立地。
しかしツアー期間中は競馬の開催がないということで、かなりの競馬フリークでもあるW君は無念がっていた。
もう夜も更けていたがとりあえずコンビニに行ってみようと、7、8分かけてセブンイレブンまで歩く。
皆考えることは同じだったようで深夜のセブンイレブンが一時モーヲタでごったがえすというこれまた異様な光景に。
香港のセブンイレブンは日本の半分かそれ以下程度の広さ。食料品や飲料がメインだがいわゆるお弁当の類は置いてなく、レンジなどもなかった。
とにかく日本のインスタント食品やお菓子がほとんどそのまま置かれていて驚いた。
特に日清食品の製品はかなり浸透していて「カップヌードル」や「出前一丁」がたくさん並んでいる。
ひとまずインスタントの麺類や飲み物、明日の朝食べるものなどを買ってホテルに戻った。

ホテルのテレビではNHK衛星第1放送を見ることができた。本当に、これを見ている間はホッとできた。
シャワーを浴びたり軽食をとっているうちに時刻は3時近く…
こんな夜中に到着したのに明朝の出発は8時だという。
まあぼやいても仕方ない。これも娘。のため…
こうしてやや先行き不安な香港の第一夜は更けていった…