リボンの騎士 ザ・ミュージカル


於:新宿コマ劇場
ただでさえ暑かった夏を余計に熱くさせてくれたリボンの騎士とも今日でお別れ。
そして何より「モーニング娘。小川麻琴」の最後の晴れ舞台。
すっかり見慣れたコマ劇場前の雑踏も、卒業公演を前にこれまでと違った緊張感と高揚とをはらんでいた。
私はあえて静かな気持ちで臨もうと考え、開演時間ギリギリまでゲーセンで過ごした。
いざ入場しようというところでわたる&ゆきぽんと遭遇。


座席はオクで手に入れた33列という場所だったが出入り口の真上で視界良好。足元も余裕があり、申し分のない環境であった。
「開演に先立ち、皆さまにお願いがございます。…」
このアナウンスも聞き納め…
「終わりの始まり」の時を、寂しさと興奮の入り混じった複雑な気持ちで迎えた。
演者の気迫のこもった素晴らしい舞台が展開する。
もう5回も見た内容なのに少しも感動は薄れない。
涙に濡れた目で必死に双眼鏡を覗き、彼女らの表情を追った。


やがて物語は終わりを告げ…転生した魂たちが躍動する時。
小川麻琴、娘。ラストステージ―――
千秋楽のこの日だけ、特別に追加された曲目。
生バンド伴奏による、『青空がいつまでも続くような未来であれ!
う…う…
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最高の仲間たちに囲まれ、涙をこらえながら歌う小川。
これはずるい。どんだけ泣かせるんだ。


そして、最後のカーテンコール。
青いサイリウムを振りかざし、満場の「麻琴」コール。
幕が開き、リーダー吉澤が意気あげる客席を制して「それはあとでゆっくり…」
順番に出演者あいさつ。
サファイアとの別れを心から惜しみ、涙にくれていたマルシア
ハロプロメンバー、そして我々ヲタとの出会いを喜んだ箙かおる
剣術試合の選手役4名、バンドメンバーの紹介に続き、
時折感極まりながら、この舞台で得た自信…同じステージに立って小川麻琴を送り出せる喜び…後押ししてくれたファンへの感謝…を口にした石川梨華
「まとめるのが下手で…」と前置きし、難役で自分自身葛藤しながら戦った…大好きな世界なので楽しかった…と述べた後は前置きどおりまとめ切れずいつものテッテケテー節全開になってしまった高橋愛
そして娘。メンバーより小川へ送る言葉。
新垣里沙。5年間あっという間だった…海外でも明るいキャラで頑張れ。最後は「まこっちんに出会えてよかったよ!」と抱擁。そこへ加わる高橋。
藤本美貴。ミュージカルが終わるのも、明日から麻琴がいないのも信じられない…いるだけで面白い存在だった…海外でも頑張れ。
吉澤ひとみ。3月から稽古して、正直なっげーな!と思ったこともあったけど、このミュージカルが好評だったこと、そしてこの舞台で小川を送り出せることがうれしい…目が見れない…小川はこう見えて弱いところもある。海外に行ってもいつでも連絡してきて。
最後に、小川麻琴の言葉。涙ながらに。
「5年間の数え切れない思い出と経験は一生の宝物です。海外に行って一回り成長した小川麻琴で帰って来たい。…え〜、頭がいっぱいいっぱいで何を言えばいいか…」
観客、笑い。ここでそっと小川に何やら耳打ちする吉澤。
一転、晴れやかな笑顔で。
小川麻琴、元気に行ってきます!」


初めて『リボンの騎士』を観たとき、改めて感じたことがあった。
小川麻琴がステージに現れるだけで、なぜこんなにホッとするのだろう?
藤本美貴も言ったように、何をするわけでなくとも、そこにいるだけで空気が和み、安らぐ。
そういう不思議な力を持った女の子だ。
しかし、卒業に際して少し驚いたことがある。
千秋楽当日に放送された『ハロー!モーニング。』の中で、残るメンバーに向けた小川の言葉。
モー娘。を背負って戦うという強い意志、それは胸に刻んでいてほしい」
朗らかな笑顔ばかりが印象に残る彼女が、「戦い」という言葉を使ってモーニング娘。を表現した。
そこには、娘。として精一杯戦ったという確かな自負があったのだろう。


5年前。『LOVEマシーン』時代のブームは去り、モーニング娘。の「速度」も落ち着きを見せ始めた頃…
そこへ飛び込んできた4人のメンバー。
4人に限ったことではないが、彼女たちの過ごす日々は、モーニング娘。を受け継ぎ、モーニング娘。を守り、モーニング娘。を押し進める戦いの日々であり、それは今もなお連綿と続いている。
娘。加入当初の小川の表情は、現在と比べてずっと険しい。まるで常に何かを警戒し、何かに耐えているような、そんな顔つきである。
しかし、そうした我々の想像を絶する激しい戦いの末、ついに彼女は娘。における自らの在り方を見つけ出し、やがてあの笑顔を手に入れたのだ。
だからこそ小川麻琴の笑顔は優しさに満ちており、多くの人に安らぎを与える。
これからも彼女はその笑顔を武器に戦い続けることだろう。
そしていつか、またひとつ大きな何かを手に入れ、とびきりの笑顔で私たちの前に現れてくれるに違いない。
今は、その日を心待ちにしたいと思う。


小川麻琴モーニング娘。卒業おめでとう。
5年間お疲れ様。そして、ありがとう。


こうして『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』は幕を閉じた。
しかし…「モーニング娘。」という名の魂の物語は、まだまだ終わりそうにない。