モーニング娘。ラッキー7オーディション

該当者なし―――


この結果を知り、現娘。メンバーたちは一様に、
驚嘆と安堵とが入り混じったような複雑な表情を見せた。
その中で一人、ほとんど表情を変えなかったの高橋愛だった。


「エースを発掘する」というこのオーディションの趣旨を知ったとき、
彼女らの胸中に去来するものは何だったか。
客観的に見れば、怒りをあらわにしても何ら不思議ではない状況である。
エースを外に求める、では今いる自分達は何者か?
プロデューサー自身の口からそうした発言を聞かされ、
自分達の評価がそういうものでしかない、ということを
思い知ったとき、彼女らは一体何を思ったのだろうか。


もちろん表立って不満をぶちまけるようなことは
できないだろうけれども、心中穏やかでいられるはずはないし、
俄然危機感にさいなまれるメンバーもいたかもしれない。
このオーディションは、今のモーニング娘。に否応なしに
つきつけられた「戦い」であった。


しかしあれだけの大規模な募集を行ったにもかかわらず、
現存するモーニング娘。のメンバーを超える存在は現れなかった。
彼女達は勝ったのである。


あのとき、高橋が見せたえもいわれぬ表情…
勝利の喜びを必死で飲み込もうとしているようにも見えた。
しかしそこには、自分が「モーニング娘。」であることへの
誇り、自信が確かににじみ出ており、
なんとも言えずカッコよく、頼もしい顔つきだったのである。
愛ちゃん、笑っていいんだ。君は勝ったんだ。
他の11人だって思い切り笑えばいいのに。おめでとう。モーニング娘。


プロデューサーつんく♂は、
「すぐ次のオーディションをやりたい」と発言した。
次の戦いは、またごく近い未来に訪れるのかもしれない。
しかし今回の一件は彼女達に強さを与えうると思うし、
また彼女達もすすんでそれを身につけなければならない。
久々に到来したモーニング娘。をめぐる熱いドラマに、
胸が躍った一日であった。