モーニング娘。 コンサートツアー2007春〜SEXY 8 ビート〜


於:さいたまスーパーアリーナ

ハロモニ@見てから出発。
やはり県内コンは楽でいい。
足は平らなところを歩くのは普通にできるくらいに回復した。
会場に到着、やはり女性吉澤ヲタの姿が目に付く。
グッズ売り場をのぞいてみるが到底並ぶ気にはなれないほどの人。
入場するとロビーにもグッズ売り場があるのだが長蛇の列は同じ。
そしてこの売り場のせいで通路が狭くなって渋滞が起こる。
これなんとかならないんだろうか。


開演。
もちろん構成には変更あり。
冒頭で、新加入の中国人メンバー、ジュンジュンとリンリンの紹介。
二人とも、たどたどしい日本語で娘。として歩き出す決意を述べた。
まあ、彼女たちの加入についてはいろいろな意見があって。
並大抵の試練ではないと思うけれども、とにかくがんばってみてくれ!と。
困難を乗り越えた先に、彼女たちに、そして私たちにもまた新しい何かが見えるはず。


美貴ソロでマイク故障。雑音で歌えず。
飛んできたスタッフから代わりのマイクを受け取り、また歌い出す。
いたずらっぽく笑ってやり過ごしたミキティに会場から拍手。
吉澤、大きな羽根がたくさんついた衣装で登場し、卒業のあいさつ。
追加曲は『I WISH』。
4期メンにとっては本当に大事な曲なんだね。泣ける。
でもまだ本番は先なのでなるべく泣くのは我慢する。


昼公演終わり、いつもの連中と合流。
卒コン特有のそわそわした空気の中、最終公演を待った。

いよいよだ。
座席は400レベル。ステージははるか遠くだがほぼ正面。
会場全体を上から見渡せて、なかなかの壮観である。
そして私の周りは席がスカスカであった。
こんな状況で100%体を動かせないのがなんとも口惜しい。


開演。滞りなくステージは進行し、モーニング娘。吉澤ひとみと過ごす時間も着々と少なくなっていく。
その切なさからなのか、400レベルという高地で酸素が薄くなっているからなのかどうかわからんが、なんだかだんだん胸が苦しくなっていった。


やがて、とうとう最後の卒業セレモニーが始まった。
客席を埋め尽くした白いサイリウムの光と、満場のよっすぃーコールに迎えられ、吉澤ひとみがセンターステージに歩を進める。
ソロ曲『その出会いのために』をしっかりと歌いきった後、モーニング娘。メンバーからの贈る言葉


光井愛佳

「吉澤さん、ご卒業おめでとうございます。
入った頃に、吉澤さんが『連絡先教えるから、いつでも連絡してきな』って言われたときに、すごくリーダーっぽくてカッコイイなと思って、印象に残っています。
これからも、まだまだ教えてもらいたいと思いますんで、よろしくお願いします。(抱擁)」

モーニング娘。として、まだ助走を始めたばかりといった感じの光井。
その傍らには、やはりリーダーである吉澤が付き添う場面が多く見られた。
共に過ごした時間は決して長くはなかったが、その精神は間違いなく光井の中にも流れ込んでいったはず。
今どきの女の子には珍しい礼儀正しさや聡明さを感じさせる彼女。
今後、どんな娘。に成長していってくれるのか、興味は尽きない。


久住小春

「吉澤さん、卒業おめでとうございます。(泣)」
(吉澤)ありがとう…ほらミラクル!
「吉澤さんには、いっぱい怒られたけど、それは全部、自分のプラスになって…
もし、吉澤さんが怒ってくれなかったら、今の小春はなかったと思います。」
(吉澤)ほーんとに思ってんの?
「これからも、小春のお母さんでいて下さい。卒業おめでとうございます!(抱擁)」

以前、先輩の卒業に際してはただ泣きじゃくり、言葉を伝えることもままならなかった久住の姿を思い出す。
しかしこの日の彼女は、実にしっかりと、自分の思いを吉澤に告げて見せた。
我々の目から見ても、吉澤に育てられたという印象の強い久住。
一人で背負った大きな仕事にも果敢に立ち向かって結果を出し、ものの一、二年で見違えるような強さを見につけた。
その強さもきっと、吉澤から受け継いだものに違いない。


亀井絵里

「(泣)吉澤さん、卒業おめでとうございます。
えーっと、入った頃、そんなにお話ができなくて、だから…今日みたいに、こんなに吉澤さんを、大好きになる日が来ると思ってなかったし、」
(吉澤)遅いよ!
「今日という日が、こんなに早く来るなんて思ってなくて、ホントに『あーあ』って思うことは、あるんですけど、吉澤さんからはいつも、何気ない一言で、すごい元気をもらっていて、
いつもテキトーテキトーって言われるけど…吉澤さんを大好きって思う気持ちとか、カッコイイって思う気持ちとか、優しいなって思う気持ちとかは、テキトーじゃなくて、本当に、思ってます!
今までありがとうございました。卒業おめでとうございます。(抱擁)」
(吉澤)これからもテキトーな付き合いしてこうな。
「(笑)」

6期メンバー、特に亀井道重田中がモーニング娘。に本格的に合流してから、吉澤がリーダーに就任するまでにはおよそ2年という期間があった。
6期加入当時の娘。がかなりの大所帯であったこともあり、世代の離れたメンバー同士で緊密な関係を築くのは時間をかけても難しかったであろうことがうかがえる。
それでも、殊にリーダーに就いてからの吉澤ひとみという人物像に対する憧憬や畏敬の念が亀井の心に徐々に芽生えていったのも事実だろう。
テキトー。漢字で書けば、適当。「適して、当たっている」ということである。
吉澤と亀井の間に、いい意味で「適当」な関係が築かれるのは、むしろこれからなのかもしれない。


道重さゆみ

「吉澤さん、卒業おめでとうございます。
あの、…吉澤さんが、リーダーになったばっかりの頃とか、全然話すきっかけがなくて…吉澤さんはきっとさゆみのことなんて眼中にないんだなーって思ってて、
でも、本当はすごいしっかり見ててくれて…さゆみがすごい辛くて…周りの人に『大丈夫だよ、大丈夫だよ、今がチャンスだから』って言われてたときに…
それが逆にすごくプレッシャーになってたときに(泣)………吉澤さんは…逆に何も言わずに、手をギューッとしてくれて、それがすごくうれしかったです。
あの今も重さんて呼んだんですけど、重さんっていうあだ名は、もっとキュートがよかったです。
とか言いつつ、ほんとはすごい、宝物なあだ名です。」
(吉澤)ほんと?ありがとう。見て、ちょっと王子様みたいじゃない?
「王子様ー!!(抱擁)」

道重さゆみという女性は、いわゆるブリッ子キャラを売りとしながら、娘。内にあって類稀な思慮深さや鋭い洞察力を内包した、複雑な精神世界の持ち主である。
だからこそ時には周囲の激励さえも裏返しに捉えてしまい、己の身の処し方について深く思い悩むこともあったという事実が明らかにされた、貴重なコメントであった。
そんな道重を救うために、凡百の言葉を投げかけるよりも有効な手段が存在することを、吉澤は知っていた。
モーニング娘。という戦場に身を置く者同士ならではの心の絆も、彼女たちの原動力の一つである。


田中れいな

「吉澤さん、卒業おめでとうございます。
えーれいなは…(手で顔をさえぎり)…ちっと吉澤さん見ないです!」
(吉澤)見てよー。
「泣かないって約束したんで…!」
(ガン見する吉澤)早くしとーと?やっとーと?
「(泣)…泣いてません!」
(吉澤)泣いてないよ。泣いてなんかない。
「れいなは…吉澤さんが、あの、ハロモニん時に、ハロモニのコントで、自分を捨ててやりきるところが、すごいなと思うとって、
普段は、すごいきれいなお姉さんなのに、コントの時は、ガラっと変わる吉澤さんが大好きです。」
(吉澤)ありがとう。
「今まで、ありあとございました。」
(吉澤)じゃあ…一番のれいなの変顔を見せてもらおうか。
「変顔ですかー!?」
(吉澤)一緒にやろう。じゃあ、あそこに向かって。せーの
(二人で変顔、抱擁)

本当に、田中れいなは不器用な女の子だと思う。
自分で言うほど人付き合いも上手ではない様子だし…
だがその不器用さゆえに、ステージに立つまでには人一倍の努力を重ねる。
これも彼女の大きな魅力であり、才能である。
そんな田中の目に、奔放でかつメリハリの利いた吉澤の身のこなしはさぞかし眩しく映ったことだろう。
しかし、一足飛びに吉澤の境地にまでたどりつくことなど出来はしない。
コツコツと自分にできる努力を重ねていくのが彼女のスタイルなら、それもまた素晴らしいことだと思う。
とはいえ、吉澤が促した「変顔」は、田中が自分の殻を破るためのきっかけとして課した小さな試練だったのかもしれない。
案外、近い将来に全く新しい田中れいなが姿を現し、我々を驚かせる…なんてこともあったりして。


高橋愛

「(泣)えーっとぉ…吉澤さんとは、いっこしか違わないのに、ホントにしっかりしてて。ホントにリーダーだなって…思うし、
あたしが(足を)くじいて…すごい悔しい思いをしたときに、吉澤さんが、『絶対大丈夫だから』って、『ファンの人はみんな見ててくれてるから』って、言ってくれたときに………
…すっげーうれしくて、…あの〜、なんって言ったらいいか…
ほんとに、それが心の支えになって、今日も…動きすぎてスタッフさんに怒られたりとかしたんですけど、でも、…あ〜〜〜〜ほんとに大好き〜〜〜(抱きつく)」
(吉澤)だいじょぶか?こんなしゃべって
「違うのもっといっぱい言うことあったの!」
(吉澤)言うことまとまらんのやな。
「まとまらないんだよ…」
(吉澤)福井弁でしゃべったら?もう
「そやな…」
(吉澤)そやな
「ぉーぅ…ホントに…あ、ホント?あの…吉澤さんは、ホントに、みんなに好かれてて…その理由がすごいわかるんです。だから、卒業してもぉ、そのままでいると思うし、」
(吉澤)失礼だなw
「なんで?」
(吉澤)いやいやいやいやいいこと言ってる。いいこと言ってるだいじょぶだいじょぶw
「後は…継ぐで。」
(吉澤)継ぐでw
「胸は開けとくんで。」
(吉澤)胸開けとくか。
「…おいで〜」
(抱擁。なかなか離れない高橋)
(吉澤)あの赤ちゃんが一人あのー、すいませんえと、保育室ですか?ベビーカー用意してもらえますか〜

大事な、先輩の卒業式を目前に控えての負傷。
その悔しさは到底、我々に計り知れるものではない。
しかしそれを優しく包み込んだ吉澤。そして出来る限りのパフォーマンスで応えようとした高橋。
様々な思いがかけめぐり、話す言葉もまとまらない…
まあ、この人の場合、健康体であったとしても同じ結果になる可能性が高いのだが…
とにかく実に高橋らしいコメントだった。
この度、いよいよサブリーダーという要職(?)に就く彼女であるが、この幼児性や朴訥さは是非残していて欲しいと思う。


新垣里沙

「吉澤さん、卒業おめでとうございます。
(泣)…吉澤さんが…卒業しちゃうと、私の中でのモーニング娘がいなくなっちゃうんですよ…」
(場内どよめき)
「一番長くいた…」
(高橋)ちょと待って。
「ぅえっ!?」
(高橋)頼りにならんか〜あたし達…
「そういうことじゃなくてー」
(吉澤)ごめん、そのトークはね、楽屋でやってくれるかな
(場内笑)
「…えーと………吉澤さんは、ほんとに、私の中ですごい大きい存在で、…いつも頼ってばっかで、もう5期メンバーなんだから、もっとしっかりしなくちゃなあとか思ったけど、結局、いつも助けてもらうばっかりで。
…もう、ありがとうございますって何回言っても…足りないくらいなんですけど、吉澤さんを尊敬してるし、すごく感謝してます。」
(吉澤)ありがとうガキさん
「吉澤さんを見習って…これからは、私たちもがんばっていきます。本当に6年間、約6年間ですが、お世話になりました。大好きです…(抱擁)」

これまた、実にガキさんらしい言葉である。
モーニング娘。に憧れ続け、ついには自らがモーニング娘。となってからも、彼女の中の「娘。愛」は少しも色褪せることがなかった。
リーダーとして娘。を引っ張る吉澤の姿は、新垣にとってどんなにか美しく、カッコよく、頼もしいものであったろうか。
しかしいつの間にやら、とうとう新垣に先輩はいなくなった。
それにしても「モーニング娘。がいなくなる」とは寂しい台詞だ。
どうかこの先は、胸を張って主体的に新しいモーニング娘。を作り上げていって欲しいものである。
誰よりも娘。を愛する新垣こそ、それを成し遂げるに最もふさわしい存在ではないか。


最後に、藤本美貴

「え〜よっちゃん、卒業おめでとう。
よっちゃんと、会ったばかりのときは、壁にね、携帯をゴリゴリってやって、『この携帯薄くならないかなあ』って言っててwww
『何を考えてるんだろう』ってずっと、思ってたんだけどでもこう時間が経つにつれて、すごい、いっぱいしゃべんなくても、わかってくれるし…
まあガッタスでも一緒で、私のほうが年上なんだけどw
すごく、いっぱい助けてもらって、まあ一緒に、泣いたときもあったけどwwwww」
(吉澤)あったな。
「あったね。あのー…がんばります。」
(吉澤)リーダーがんばれ。この…重たい船を。舵いっぱいこう、振り回して、お母さんがんばって。
「そうだね。10人に…なるので。がんばります」
(吉澤)お父さんいつでもいるから。
「全然連絡します。」
(吉澤)おいでお母さん。
「ひとピンク…(抱擁)」

藤本美貴にこれほど人なつっこい一面があることを知ったのは、やはりモーニング娘。に加入してからであった。
特に年齢も近い吉澤を早くからとても慕っていたように見える。
やがてガッタスでもキャプテンと副キャプテン、娘。でもリーダーとサブリーダーという関係に納まる。
このコンビが多方面で力を発揮し、自らを夫婦になぞらえて表現するほどまでに二人の絆は強くなっていった。
様々な感情を共有したことだろう。それにしても、普段の二人からは「一緒に泣いたこともあった」などというエピソードは簡単には想像できないが…
これからは、女手一つで娘。を引っ張る「肝っ玉母さん」藤本美貴の奮闘に注視していきたい。


そして全員での『I WISH』の後、あらためて吉澤ひとみの言葉。

「まっ白。すっごいきれいです。
すごいね、白。白って、きれいですね…
みんながいてくれる限りね、もう、このまっ白のように、何色にでも染まるよ。
どうもありがとう。


今日、私吉澤ひとみは、モーニング娘。を卒業します。
今、こんなに素敵な気持ちでいられるのも、すべて応援して下さる、ファンの皆様のおかげです。
本当にどうもありがとうございます。
モーニング娘。に入ってからの7年間、ファンのみんなと過ごした時間は、何にも代えられない宝物です。
14歳のときに、『ASAYAN』を見て、勇気を出して応募してよかったなと思います。
ありがとう。


モーニング娘。は、私にとってこう、家族みたいなもんでね。
なんかこう、当たり前にある存在?当たり前に、いつも一緒にいて、ただいまーって普通に、いつも当たり前に帰ってくるお家みたいな感じで、
なんかねー…だから本当は、もうさっきのセレモニーとかさ、『うわーホントに自分卒業するんだー』とか思って、『吉澤さんおめでとうございます』って『何が?』ってちょっと…ちょっと、でもすごくなんかグッ!てきて、
だからほんとはすごく寂しいんだけど…でも、出会いがあれば別れがあり、終わりがあるからまた始まる。
吉澤ひとみは、明日からまた出発します。


モーニング娘。は私の中に、これからもずっとずっとあり続けるものです。
先輩。後輩。そして、一緒に仲間入りした4期メンバー。
家族を作り上げてくれたつんく♂さん。
そして、たくさんのスタッフの皆さん。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。


今、めっちゃ幸せです!本当に幸せです。
でも、こんな幸せに出会えたのは、7年間、自分自身と戦い続け、走り続けてきたから、出会えるんだなと思います。
これからも、みんなと素敵に出会っていきたいです。
今日という、本当に素敵な日を、私は一生、忘れません。
みんな本当に、7年間、たくさんの声援をありがとうございました!

吉澤ひとみが示した新しいリーダー像

ご存知の通り、リーダー・吉澤ひとみが誕生した経緯は、極めて異常なものだった。
とんだ「与太者」であった前任者の突然の脱退を受け…わずか数日後に一人少ないステージにリーダーとして立つ心境はいかばかりであったか。


娘。加入以来、吉澤ひとみについてはそのボーイッシュなキャラクターと奔放な振る舞いで、言うなれば「どら息子」的な印象があった。
そんな吉澤が、リーダー…
「大丈夫だろうか」と思う者も少なくなかったのではないか。
しかし、彼女は最初のステージを毅然とした態度で乗り切り、その後も石川梨華を送り出し、久住小春を迎え入れ…
グループ全体にとっても大切なミッションを一つ一つ、着実にこなしていった。


これまでモーニング娘。のリーダーを務めた人物、中澤裕子飯田圭織矢口真里は共通して、自分は一歩下がってメンバー達の手綱を時には引き締め時には弛め、というスタイルをとっていたように感じる。
これに対して吉澤ひとみというリーダーは、文字通り先頭に立ってグループを引っ張ってきたという印象がある。
突然、リーダーが消えていなくなったあの日…
それでも、立ち止まることはできない。
とにかく誰かが船を引っ張らなければならなかった、としたら。
今にして思えば、吉澤ひとみ以外にこの仕事は務まらなかっただろう。


「地位が人を作る」という言葉がある。
リーダーに就くとなって、もちろん本人の意識にも変革はあっただろうが、「自分がグループを引っ張ろう」という強い意志までは、あるいはなかったかもしれない。
それでも、結果として押し出されるような形で吉澤はグループの先頭に立つことになったのではないか。
しかし彼女は、追随するメンバー達の信頼を集めることに成功し、立派に娘。を導いてきた。


そんな「リーダー吉澤」がすっかり定着した今年初頭、彼女のモーニング娘。からの卒業が発表される。
牽引車を失う。私たちファンの落胆は大きかった。
ところがそれから10日と経たないうちに彼女自身を待ち受けていたのは、あまりに残酷な運命のいたずらだった。
自分より若い家族の、突然の死。
吉澤の心中を推し量り、私たちも大いに心を痛めた。
とにかく一旦、心と体を休めて欲しい。
しかしわずか3日後、我々を驚かせたのは、何事もなかったかのようにステージに立つ吉澤の姿であった。
吉澤ひとみモーニング娘。となり、さらにそのリーダーとなることで身に付けた強さ―それよりも先に、彼女には生まれ持った何かがあったに違いない。
それにしても、人間はここまで強くなれるものなのか。
吉澤の卒業を惜しむ私たちの気持ちは、俄然強さを増した。


吉澤が役目を終え、藤本美貴がリーダーを引き継ぐことになった今後も、(藤本本人はそのつもりはないと公言してはばからないが)「リーダー主導」という体制はしばらく続くのではないかと思われる。
ややもすれば「リーダー任せ」の風潮に陥りかねない現状を打破するためにも、この先は各人の自己顕示欲がさらに発揮されるよう願う。


「涙・涙の卒業式にはしたくない」と語っていた通り、吉澤は他のメンバーの送辞にも適度に茶々を入れて極力湿っぽい空気にならないよう心を砕き、自らもついに一筋の涙もこぼすことはなかった。
本人のスピーチも、数年前の彼女からは考えられないほどすっきりと思いの丈が伝わってきて、心地よいものだった。
おそらく、彼女の思惑通りの卒業式を作ることができたのではないだろうか。
その姿は最後まで小にくらしいほどにカッコよくて爽やかで、実に吉澤ひとみらしく…私はもちろん一抹の寂しさを抱きつつも、いつも以上に清々しい気分で会場を後にした。


吉澤ひとみさん、7年間お疲れ様。そして、たくさんの思い出を本当にありがとう。





終演後

会場そばの焼肉屋で打ち上げ。意外に安く上がる。
一人帰って、駅のそばの居酒屋で二次会。
私はその途中で失敬し、終電で帰宅した。