SPHERE LEAGUE すかいらーくグループシリーズ FINALステージ


於:有明コロシアム
長きに渡ったスフィアリーグの戦いもついに最終章。
総合優勝争いの舞台であることはもちろん、つい5日前に突如カントリー娘。あさみみうなの卒業が発表されたことを受けて、Gatas Brilhantes H.P.にとってはことさら重要な意味を持つ大会となった。
かといって正直な話、ここ数日のメンバー達のハードスケジュールを見聞きしていた我々には彼女らに過度な期待もできなかった。


会場内は噂に聞いた通り寒かった。
また空席も目立ち、クライマックスに似つかわしくないうら寂しさも漂う。
それでもやはり、リニューアルされたユニフォームに身を包んだガッタスのメンバーが姿を現すとにわかに観客は色めきたった。


対戦カードが今回は公開で決められ、試合が始まった。
ガッタスの戦いぶりは良くも悪くも我々の期待を大きくは裏切らなかった。
とにかく点が入る気がしない。
「これはもう0−0PKで決勝まで行くしかないねw」
あちこちからそんな自嘲と冗談交じりの声が聞こえた気がした。
ところが現実はまさしくその通りに進んでいった。
点は取れない、しかし取られない。
この日、決してうまくいっているとは言えないチームをすんでのところでことごとく救い続けたのが、誰あろう辻希美であったことに異論を挟む者はいまい。
激突をも恐れず持ち前の動物的反射神経をフルに発揮して敵の攻撃をはね返し、PK戦では覆いかかるプレッシャーに苦笑いすら浮かべつつ観客を鼓舞して完全に流れを引き寄せた。
その精神的な弱さを露呈し、しばしば大量失点を喫していたひと頃のような姿はどこにもない。まさに鬼神のごとき活躍であった。


「技術で及ばない部分を気持ちでカバーする」
言葉にするのは簡単だが実際たやすいことではない。
しかしガッタスはやってのけた。
藤本美貴は行く手を阻む敵をものともせずがむしゃらにゴールに突進し、最後の大舞台に一片の悔いも残すまいとするあさみみうなは、PKに最後の最後まで魂をこめ続けた。


結果としては、ガッタスは決勝戦で涙を飲み、年間王座もTEAM dreamに譲ることとなった。
しかし現時点でできうる最大限の結果を残してくれたのではないかと思う。
今回、総合優勝争いを演じていたcarezza、dream、そしてガッタスの3チームをすべて破って優勝したXANADU loves NHCは見事というほかない。
積極的に補強を行い、ポテンシャルは高いはずなのになかなか結果に結びつかないというチームだったが最後の最後で実を結んだ形となった。


スフィアリーグ初年度も終わってみれば2回優勝したのはdreamだけで、各チームの戦力が拮抗しているのは間違いないようである。
だがその中にあってガッタスの今後については不透明なままだ。
ただでさえわずか9人というギリギリの人員での戦いを余儀なくされていたというのに、さらに主力だったあさみみうなの離脱。
チームの存続自体を危ぶむ声も少なくなかった。
しかし閉会式においてキャプテン吉澤ひとみは、「これからも挑戦を続ける」という旨の発言を行った。
また、スフィアリーグの来期についても、「詳細は後日」と含みを持たせた発表が行われた。
ともかく我々にできるのは行く末を見守ることだけなのだが…
一年間頑張ってきた各チーム選手、スタッフの皆さんには心からお疲れ様、である。
そして最後になりましたが、得点王に輝いた是永美記選手、本当におめでとう。