第85回 天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝 浦和レッズ対清水エスパルス

於・国立霞ヶ丘競技場
ついにきた、元旦のレッズ。
しかしうだうだしていて出かけるのがやや遅くなった。
開場から1時間以上経ってから到着。もう座るところは全くない。
右往左往した結果、ゴール裏最上段の通路に落ち着くことになった。
普通に立っているとピッチは見えない。折りたたみ椅子を持ってこなかったことを悔やんだ。
後ろの柵によじ登るとよく見えるが常に片腕は体を支えていなければならないのでくたびれるし手拍子もできない。
しかしその分声を出すということで頑張ることにした。


試合は決勝戦にふさわしい激しく見ごたえのある内容であった。
スピードに乗った清水の攻撃はリアルに脅威で、危ないシーンも何度もあったが寸でのところで持ちこたえるレッズ。
ところで私のいる場所からはビジョンはもちろん時計も全く見えず、今何分経過しているのかがわからない。
先が見えない状態での応援というのはけっこうきつかった。
そんな中、前半39分に均衡が破れた。
レッズ右サイドのコーナーキックからの流れ、左から上げ直したアレックスのクロスに飛び込んだのは、堀之内聖
相手DFより一瞬早くボールに食らいつき、先制―――
天皇杯が、いよいよ手の届くところに見え始めた瞬間だった。


後半開始後も激しいボールの奪い合いが続いた。
私は最後列からとにかく声を出した。
そして後半28分、2度目の歓喜
トミスラフ・マリッチ。ポンテの右サイドからのクロスに滑り込んでシュートを放つと、ボールはゴール上部に突き刺さった。
天皇杯で彼が見せた輝きは、サポーターの胸を打った。
その彼と共に戦えるのは、この決勝戦が最後。
色々なプレッシャーを抱えていたはずのマリッチが、また輝いて見せた。


3分後、市川のゴールで1点差に詰め寄られたが、最後まで粘り強いディフェンスで清水を振り切り、浦和レッズとしては初、前身の三菱重工時代以来25年ぶりの天皇杯優勝を果たした。
表彰式・ウイニングランの後も、ヒーローを讃え、また名残を惜しむマリッチ・コールがいつまでも鳴り止まなかった。


私はいつもの皆さんと合流して浦和へ向かった。
浦和の街はレッズの優勝を祝う人たちでにぎわっていた。
元日ということもあり祝勝会をやろうにもなかなか店がみつからなかった。
一時はミスドで過ごしたりしながらなんとなくあちこちでちょこちょこと飲みつつ喜びを味わった。


それにしても毎年何かしらのタイトル争いには絡むようになったレッズ。
天皇杯を制しても浦和の街にはかつてほどの騒ぎは見られなかった。
しかしおそらくサポーターが一番欲しいものがまだ残っている。
Jリーグ年間王者。昨年も一昨年も、あと一歩で涙を飲んでいる。
今年こそ…の思いを強くしながら家路に着いた。