2004Jリーグディビジョン1 2ndステージ第13節 浦和−名古屋

いよいよやってきたこの日。レッズは今日勝てば文句なしの優勝、勝てなくてもガンバ大阪の結果がレッズと同じか下回れば優勝。
とにかく勝つという気持ちで、朝は地元の駅でカツ丼を食べてから駒場スタジアムへと向かった。
しかし本音を言えば結果はどうであれ今日優勝が決まって欲しいというところ。


駒場での観戦は2度目だが自由席は初めて。現地に着くとサブグラウンドへ誘導される。
そこにはすでにおびただしい数のレッズサポーターが列をなしていた。しかしそれももはや見慣れた光景。
今回、史上最大の紙吹雪で選手を後押ししようという呼びかけがされており、開場までの待ち時間にも新聞紙を切り裂いて黙々と紙吹雪の作成を行うサポーターが多かった。
私も前の晩に少しだけ作った紙吹雪を持参している。


悲願達成に心躍らせるサポーターの姿をとらえようと報道陣もかなりの数が取材に訪れている。その中にはNHK堀尾正明アナ(浦和高校卒)やレッズサポーターにはおなじみのラジオパーソナリティー大野勢太郎氏の姿もあった。
11時半ごろやっと入場。席を確保しようと自由席のエリアをうろうろするが、その厳しさは埼玉スタジアムの比ではない。
もう座席に座るのは早々に諦めざるをえなかった。とにかく応援に精を出そうと、一番熱気の高いバックスタンド東側のコーナーポスト付近、その最上段のコンコースに居場所を決めた。
ここはもう応援するための場所であって試合を見る場所ではない。頭上には屋根が大きくせり出しており、現にピッチの約半分は視界から消えることになる。ビジョンも見えない。
それでも、今日に関してはこの場所にいることに意義があるのだった。


試合開始が近づくと、優勝決定のときのために紙テープが配られた。これを無償で用意して配っている人たちがいる。大変なことだと思った。
選手入場。舞い散る紙吹雪。外から見たらすごい光景だったろうな。
試合開始。くどいようだがほとんど見えない。しかしとにかく声を出して応援。
前半終了間際、1点取られた。どんよりとした空気がスタジアムにたちこめる。
ハーフタイム。ガンバは0−0で前半終了。とにかく同点に追いつかなければ…。
後半開始。今度はレッズがこちら側に向かって攻めるので俄然盛り上がってくる。しかし攻めても攻めても遠いゴール。
そうこうするうち追加点を奪われた。だめか…?ガンバ戦の経過は全くわからなかった。
じりじりとした時間が過ぎて行き、終了間際にエメルソンのPKで1点を返すも、敗戦。
脱力感にとらわれる。ガンバの負けでしか優勝は決まらない。
そのとき、あちこちで色めきたつ人々が見えた。全身をざわざわとした高揚感が走り抜ける。
「ガンバ負けた!?」気がつくと口に出していた。隣の人が「さっきまで2−0で負けていたので、」と教えてくれた。
ほどなく場内アナウンスが、ガンバ大阪の敗北を知らせた。



――――優勝。



レッズがリーグ戦を制覇した。
スタジアムは2万人の歓喜に打ち震え、滝のような紙吹雪とテープがイレブンを、そしてサポーターを祝福した。
その瞬間に、私は泣くに決まっていると思っていたが、決まり方が決まり方だったこともあり、涙は出てこなかった。まあ、チャンピオンシップでマリノスを倒すときまでとっておけ、ということなのだろう。


いつものメンバーとの祝勝会まで時間があったので、浦和の『力』の前にふらっと行ってみると、思ったとおりの騒ぎになっている。
吸い寄せられるようにその輪に加わり、ビールをあおり、酒しぶきを浴びた。何度やってもいいもんです。
ひとしきり騒いだあとはマターリな祝勝会を行い、11時頃には家路についた。


とにかく、今日決まってよかった。しかしまだチャンピオンシップがある。なんとかして勝って欲しい。第1戦は、ハロプロスポーツフェスティバルと重なるため行けないが…
2戦目終了後、今日を大幅に上回るであろう狂乱の輪に加わることができるよう、心から願おう。